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ちょこっとコラム 「伊藤若冲の諸魚図・群魚図のはなし」 大府で幼児、小中学生のお絵描きならTRILLアートクラス!

高学年クラスで取り上げた、伊藤若冲 ( いとう じゃくちゅう ) の作品について少しだけ。

若冲さん (1716 ~ 1800) は、江戸時代の京都で活躍した画家で、青物問屋 ( 当時の八百屋さん ) の生まれです。

若冲さんは生き物や植物を、じーっくりと観察して、それをてーいねいに描いていく画家でした。先生は高校生の時に、美術館で若冲さんの作品と出会い、それ以来、大好きになってしまいました。

先生が思う若冲さんの作品の魅力は、構図 ( こうず ) の面白さです。

「構図」とは、かんたんに言うと「何をどれくらいの大きさでどこに描くのか」という「絵 の設計」のこと。若冲さんは、この「絵の設計」がとびっきり上手いんです!

その例えとして、「諸魚図」( しょぎょず ) を見てみましょう。

たくさんの魚が活き活きと泳ぐ海が描かれています。実は魚達が活き活きとして見えるのには秘密があります。

それは、「お魚がみんな斜め下に向かって泳いでいる」こと。

もし、お魚が全員真横に向かって描かれていたら?と想像してみてください。

何だかせまい水槽の中できゅうくつに泳いでいるように見えませんか?

それは、お魚を真横に描いてしまうと「紙の四角の中にきれいに収まってしまう」から。

四角は、「たて・よこ」でできている形なので、その中に魚を「よこむき」にかいてしまうと、魚が四角の枠にピッタリはまってしまい、きゅうくつに見えてしまいます。

若冲さんは、お魚を「斜め」に泳がせることで、四角形の「たて・よこ」のルールを破っています。そうすることで、お魚達は枠にはまることなく、広い海をのびのびと泳いでいるように見えませんか?

こうなると、紙の四角形は「水槽」ではなくで、「潜水艦の窓」のように見えてきます。つまり、「この四角の外にも広ーい海が広がっていて、僕たちはその海の一部を四角い窓からのぞいているんだ」って思えるようになり、魚たちが活き活きと泳いでいるように見えてくるのです。

魚達を斜めに泳がせることで、楽しい絵を設計する若冲さん。

江戸時代の若冲さんは、物が上手に描けているか、だけではなくて、どんな風に絵を設計するか、も絵を描く楽しみであることを、令和に生きる僕たちにも教えてくれています。

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